増加する保育士の官製ワーキングプアとは?

絵本を読む保育士さん(イラスト)

保育士さんの仕事について思うこと

現在子どもが保育園に通っていますが、この春に卒園します。

共働きを継続し、無事に保育園に通えたのは、保育士さんたちのおかげです。深く感謝しています。

お迎えのときに保育士さんの素晴らしい仕事ぶりをみていると、子どもとの付き合い方がへたな私はいつも頭が下がる思いです。保育士の仕事は、子どもが本当に好きな人でなければ決してつとまらない尊い仕事です。

また、乳児・幼児の命を預かり、安全で楽しく過ごせるようにして、生活や社会のルールを自然に身につけさせるというのは、子供好きであることはもちろんのこと、乳児・幼児に対する専門知識・体力・高い倫理観が必要なだけでなく、明るくて優しい性格も必須です。

しかし、認可保育園の保育士さんの給料が安いことをよく聞きます。また、担任の保育士さんも結婚したら退職して専業主婦になって子育てをしたい、とおっしゃっていました。仕事のレベルがとても高い知り合いの保育士さんたちにぜひ仕事を続けてほしいのですが、続けるほどの収入がもらえないという話を聞きました。

なぜ保育士になりたくてなった仕事をみなさんが辞めようと思うのか、今回気になって色々調べてわかったことを書き留めておきます。

官製ワーキングプアとは?

調べていくうちに、多くのフルタイム保育士さんは、官製ワーキングプアに該当するかもしれないと知りました。

官製とは、国(政府)や地方自治体という意味です。

つまり、「官製ワーキングプア」とは、国・地方自治体が作り出しているワーキングプア(働いていても生活保護水準以下の人:年収200万未満)ということです。

確かに周りを見渡してみると、1人暮らしをして自活をしている保育士を知りません。私の知る狭い範囲の保育士さんは、実家に住んでいるか、ご結婚されているかどちらかです。

会社員に正社員と契約社員があるように、公務員にも正規公務員と非正規公務員(嘱託職員・非常勤職員・臨時職員・〇〇相談員など)があります。

非正規公務員の平均年収は、200万円未満です。

2005年から2012年にかけ、正規公務員は273,209人減少し、同期間に非正規公務員 は147,742人増加しています。公務員の54%が非正規公務員に置き換わった計算になります。

非正規公務員約50万人のうち、74.2%が女性です。

この非正規公務員のうち、女性の割合が多い職種は、
1位が看護師(97.8%)、
2位が給食調理員(97.7%)、
3位が保育士(95.7%)です。

そして、保育士の約半数が非正規で働いています。

また、保育士の数は、2005~2012年の間に正規公務員が17%減り、非正規公務員が30%も増えています。非正規の保育士の給料は、正規公務員の1/4~1/3です。

このような収入(200万円未満)しか得られないフルタイムの非正規公務員の保育士さんは、官製ワーキングプアといわざるをえません。

フルタイム保育士さんの非正規職員の月収は、約16.3万円。

保育士を含む非正規公務員の賃金形態は、時給・日給制が64.5%、月給制が35.5%、常勤的な勤務をしながらも日給制で、年収200万円以下の人が多いのです。

かなり驚愕の低い収入でした・・・。この収入では、一人暮らしはギリギリです。都会では相当きついことでしょう。

仕事の困難さと収入が全くつりあっていません(憤)。

フルタイムで働いているにも関わらず、生活保護基準を下回る低賃金とは・・。

(参照した記事)
http://jichisoken.jp/publication/monthly/JILGO/2013/10/ykanbayashi1310.pdf

保育士の官製ワーキングプアが増えている理由

自治体のコスト削減

自治体が、コスト削減するために、保育士一人当たりの賃金を下げているためです。正規よりは非正規で雇う方がコストがかからなくてすみます。

共働き増加による待機児童の問題

共働きが増加していることにより、待機児童がどんどん増えているのに、保育所も保育士が不足しているため、保育士の数を増やさなければなりません。

コスト削減が迫られているのに、保育士を増やさなければならないとすれば、保育士に払う賃金を低く抑えるだけ抑えるしかありません。

法の谷間

公務員法では、期間の定めのない短時間の一般職(保育士を含む)の雇用形態が、地方公務員制度上にはありません。

また、非正規公務員(嘱託・非常勤職員)は、パート労働法などが適用されません。労働契約法・介護・育児休業法は、非正規公務員を除外しています。

このような背景が、ますます保育士の官製ワーキングプア化を進めているということがわかりました。

(以下、参照した記事)
http://www.zenhokyo.gr.jp/pdf/0805cyousa.pdf
http://www.jichiro-kyoto.gr.jp/soken/kaiho/09y/109/4.pdf

保育士さんの地位向上と待遇改善を望みます

保育園に5年近くお世話になっていますが、保育士さんの労働条件の悪さに驚きました。いつも笑顔で誠実に子供たちに接してくれる保育士さんたちがいたからこそ、共働きを続けてこられました。

このような実態を放置すれば、ますます官製ワーキングプアの保育士さんを増やすことになり、保育士を目指す人が減るでしょう。また保育士が減れば、共働きができなくなるので、一億人総活躍を目指す政府は保育士の数を増やすために、保育士にアルバイトや無資格者でも簡単になれる制度を整えるようになるかもしれません。保育士の仕事は、大学生がおこづかい稼ぎにやるような仕事ではなく、人の命を預かる責任の重い仕事なのに、です。これまでも、人材が不足している国家資格(弁護士など)は、試験などのハードルを下げることで、多くの人に資格を与えることで多くの人材を確保してきています。それによって、仕事に就けない・低収入という難関国家資格者がたくさんいます。

そうすると、保育の質が限りなく低下していくでしょう。
そんな保育所に自分の子どもを安心して預けられるとは思えません。それでも子どもを預けて働かなくてはならない社会になったら・・・。

もうすぐ卒園する子どもがいますが、お世話になった保育士さんの労働条件の改善は、他人事ではありません。

保育園に子供を預けなければできない仕事が世の中にはたくさんありますが、そういう仕事を選びたくても選べない人もたくさん出てくるかもしれません・・・。悪循環です。

一億人総活躍時代というならば、出生率をあげたいのならば、子どもを産んだ夫婦が働ける環境づくりをしっかり進めてほしい。

保育所の数を増やしても、保育所を民間委託しても、保育士を増やしてもそれだけで解決しません。

親が求めているのは、大切なわが子を自分(母親・父親)と同等以上のレベルでできる保育士さんが働く質の高い保育環境です。
そうでなければ、働く意欲がいくらあっても、わが子を環境が悪いところに預けてまで働くことは不安でとても選択できません。

保育士さんの地位向上と待遇改善を強く望みます。それがひいては、労働人口を増やし、出生率を引き上げることにつながっていくと思います。

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